DNA検査をして病気のリスクを調べてサポートすることは、2000年頃から盛んに行われるようになりました。
それが今では男女の相性診断にも使われるようになったとのこと。
どんな遺伝子の情報から相性を判断するのでしょうか？

●噂のDNAマッチングとは？

唾液を採取して送付してもらいDNAを検査します。その結果から相性の良いお相手を紹介するシステムです。始めた当初から反響を呼び、利用者は増え続けているとのことです。

●免疫をつかさどるHLA遺伝子の型で判断する

実際には、HLA遺伝子という免疫をつかさどる遺伝子を診断します。HLA遺伝子の型は約16,000通りもあり、その型が似ている人ほど相性が悪く、かけ離れている人ほど相性が良いと言われています。
こちらの結婚相談所ではHLA遺伝子のことを恋愛遺伝子と呼んでいます。

●なぜHLA遺伝子の型が離れていると相性が良いの？

自分のHLA遺伝子の型と離れている型の人との間に子どもをもうければ、双方の免疫機能が受け継がれ、病気に強い赤ちゃんが生まれる可能性が高まります。また流産のリスクも少ないとか。
HLA遺伝子の型が離れている異性を探す能力は女性の方が長けており、これは妊娠・出産のリスクを減らし、丈夫な子どもが産まれるようにするためと言われています。

●1995年にスイス・ベルン大学で行われたクラウス・ウェデキンド教授の「Ｔシャツ実験」が面白い！

44人の男子学生に同じTシャツを2日間着続けてもらい、汗と臭いをつけてもらいました。そのTシャツの臭いを49人の女子学生に嗅いでもらい、好みを判断しました。
その結果、自分と近いHLA遺伝子の型を持っている男子の臭いは「不快」と感じ、自分と離れた型を持っている男子の臭いは「好き」と答える人が多かったとか。
人はHLA遺伝子の型によって特有の臭いを持つと言われています。女子学生はその臭いをかぎ分けていることが分かりました。
これは、自分と相性の良い男性を遺伝子レベルで認識していることになります。「その人の臭いが好き」＝「この人との間に子どもをもうければ丈夫な子どもになる」ということ。
妊娠出産でなるべくリスクの少なくし、丈夫な子孫が産まれるように、太古の昔から女性に備わった特殊能力なのかもしれません。

●現在婚姻関係にある夫婦には、大きな特徴は見られなかったそう

婚姻関係にある夫婦のHLA遺伝子をいくつか調べたところ、お互いが特に遠いというわけではありませんでした。
ですから、HLA遺伝子診断はひとつの出会いのきっかけと考え、あまり固執しなくてもいいのかもしれません。

人の恋愛感情は遺伝子を超える何が大きなものが存在するのでしょう。
何百万年も受け継がれてきた人のDNAは、現代人にそう都合よく恋愛のヒントを与えてくれるとは限らないのかもしれません。

●ここ一番の決断で背中を押してくれる？

婚活サービスを利用する人の中には、積極的に恋愛する自信がない人もいます。告白やプロポーズといったここ一番での大切な決断ができない人もいるでしょう。
そんな時に「自分とこの人は遺伝子レベルで相性が良い」という後ろ盾があれば、決断する勇気が出るかもしれません。
これでより多くのカップルが結婚までたどり着けばいいですね。

2019年10月6日(日) 朝日新聞朝刊を参考